リースバックの見積もりは?事業用不動産の査定額・賃料の決まり方を法人向けに解説

リースバックの見積もりは?事業用不動産の査定額・賃料の決まり方を法人向けに解説

法人が所有する自社ビルや工場、倉庫などの事業用不動産を活用して資金調達する方法の一つに、リースバックがあります。

リースバックでは、不動産を売却して資金を得た後も、売却した不動産を賃貸物件として利用できます。そのため、事業拠点を維持しながらまとまった資金を確保したい法人にとって、選択肢の一つとなります。

ただし、リースバックの見積もりでは、単純に「不動産をいくらで売れるか」だけを確認すればよいわけではありません。売却価格に加えて、売却後の月額賃料や契約期間、資金化までの期間なども確認する必要があります。

この記事では、法人が事業用不動産のリースバックを利用する際の見積もりについて、査定額の決まり方や確認すべき項目、他の資金調達方法との違いなどを解説します。

この記事でわかること
  • 法人向けリースバックの見積もりで確認できる項目
  • 事業用不動産の売却価格やリースバック後の賃料が決まるポイント
  • リースバックと銀行融資・不動産担保ローンなどの違い
  • 法人がリースバックの見積もりを依頼する流れや必要な情報
  • 複数の見積もりを比較するときに確認したいポイント
目次

リースバックの見積もりとは?法人は事業用不動産をいくらで現金化できる?

リースバックの見積もりとは、所有している不動産を売却した場合の買取価格や、売却後にその不動産を利用するための賃料などを確認するためのものです。

法人の場合、自宅などの居住用不動産ではなく、自社ビルや工場、倉庫、店舗などの事業用不動産が対象になるケースがあります。

リースバックを利用すると、不動産を売却してまとまった資金を確保しながら、売却後も同じ物件を事業所として利用できます。

それぞれ順に解説いたします。

法人向けリースバックの仕組み

法人向けリースバックでは、まず不動産の所有者である法人がリースバック事業者などに不動産を売却します。売却代金を受け取った後、法人はその不動産について賃貸借契約を結び、毎月賃料を支払いながら利用を続けます。

一般的な不動産売却では、売却後に物件を退去する必要があります。一方、リースバックでは売却後も利用を継続できる点が大きな違いです。

そのため、事業所や工場など「場所を変えると事業に影響が出る不動産」を所有している法人にも適しています。

事業用不動産のリースバックで対象となる物件

法人向けのリースバックでは、事業に使用しているさまざまな不動産が対象となる可能性があります。ただし、対象物件や条件は事業者によって異なるため、個別に確認する必要があります。

事業用不動産のリースバックで対象となる物件一覧
  • 自社ビル・オフィス
  • 工場
  • 倉庫
  • 店舗
  • 事業所・作業場
  • 土地

特に、売却後も同じ場所で事業を継続したい法人では、通常の不動産売却だけでなくリースバックも比較して検討する価値があります。

リースバックでは売却後も同じ不動産を利用できる

リースバックの大きな特徴は、不動産を売却した後も同じ物件を利用できることです。

たとえば工場を売却する場合、通常の不動産売却であれば新しい工場を探して移転する必要があります。しかし、リースバックであれば、売却後は賃貸借契約に基づいて同じ工場を使い続けられます。

ただし、売却後は賃料が発生するため、「売却価格が高いか」だけでなく「売却後の賃料を継続して支払えるか」まで考えて判断することが重要です。

事業用不動産のリースバック見積もりの決め方

事業用不動産のリースバック見積もりでは、不動産そのものの価値だけでなく、売却後の賃料や契約条件なども考慮して条件が決まります。

具体的な査定方法は事業者によって異なりますが、主に次のような項目が確認されます。

それぞれ順に解説いたします。

不動産の市場価値

リースバックの売却価格を決めるうえで、不動産の市場価値は重要な要素です。

土地や建物の価格、周辺の不動産取引の状況などをもとに、不動産としての価値が査定されます。

ただし、リースバックでは通常の不動産売却とは異なり、売却後も法人が物件を利用します。そのため、市場価格だけを見て売却価格が決まるとは限りません。

土地・建物の評価

土地の面積や形状、建物の面積、築年数、構造なども査定に影響します。

特に工場や倉庫などの事業用不動産では、一般的な住宅とは異なる設備や用途があるため、物件の状況を個別に確認する必要があります。

同じエリアにある不動産でも、土地の広さや建物の状態、用途によって評価が異なる場合があります。

立地や周辺の不動産相場

不動産の所在地や周辺環境も見積もりに影響します。

駅からの距離や交通アクセスだけでなく、工場や倉庫であれば物流環境、店舗であれば商圏など、物件の用途に応じた立地条件が確認されることがあります。

周辺の不動産価格や賃料相場も、売却価格やリースバック後の賃料を検討する際の材料になります。

建物の築年数・状態

建物の築年数や維持管理の状況も査定に影響する可能性があります。

建物の老朽化が進んでいる場合や、大規模な修繕が必要な場合には、査定条件に影響することがあります。

一方で、建物の状態が良好で、今後も利用しやすい物件であれば、評価される可能性があります。

事業用不動産としての用途や収益性

事業用不動産では、その物件がどのような用途で利用されているかも確認されます。

たとえば、工場、倉庫、店舗、オフィスでは、それぞれ不動産としての需要や利用方法が異なります。

また、収益物件の場合は賃料収入などの収益性が評価に関係するケースもあります。

リースバック後の賃料

リースバックでは、売却価格だけでなく、売却後に支払う月額賃料も重要です。

売却価格が高くても、リースバック後の賃料が高く設定されれば、長期的な資金負担が大きくなる可能性があります。

そのため、見積もりを比較するときは「いくらで売れるか」と「毎月いくら支払うか」をセットで確認しましょう。

既存の借入や抵当権

対象となる不動産に金融機関などの抵当権が設定されている場合は、その状況も確認が必要です。

既存の借入残高や抵当権の状況によっては、リースバックによって得られる資金や契約条件に影響する可能性があります。

借入が残っている不動産についてリースバックを検討する場合は、現在の借入状況を整理したうえで事業者に相談するとスムーズです。

法人向けリースバックの見積もりで確認できる項目

リースバックの見積もりでは、買取価格だけを確認するのではなく、売却後の利用条件まで確認することが大切です。

項目確認する内容
売却価格不動産をいくらで売却できるか
月額賃料売却後に毎月いくら支払うか
契約期間どの程度の期間、物件を利用できるか
更新条件契約期間終了後も利用を継続できるか
買い戻し条件将来的に不動産を買い戻せるか
資金化までの期間見積もりから売却代金を受け取るまでの期間
諸費用契約や売却にかかる費用

特に法人の場合は、売却によって得られる資金だけでなく、その後の賃料負担や契約期間まで含めて資金計画を立てることが重要です。

リースバックの見積もり額と市場価格の違い

リースバックの見積もり額が、通常の不動産売却における査定額と同じになるとは限りません。

リースバックでは、売却後に法人が物件を利用するため、通常の売却とは異なる条件で取引されます。また、売却価格と賃料、契約期間などを合わせて条件が設定されるためです。

それぞれ順に解説いたします。

通常の不動産売却とリースバックでは売却価格が異なる場合がある

通常の不動産売却では、買主が購入後に自由に物件を利用することを前提として価格が決まります。

一方、リースバックでは売却後も元の所有者が賃借人として物件を利用します。そのため、通常の売却査定額とリースバックの買取価格が異なる場合があります。

「一般的な売却ならいくらなのか」と「リースバックならいくらで買い取ってもらえるのか」を分けて考えることが大切です。

売却価格だけでリースバックの条件を判断しない

リースバックでは、売却価格が高い事業者を選べば必ず有利になるとは限りません。

たとえば、売却価格が高くても、リースバック後の賃料が高ければ長期的な負担が増える可能性があります。

そのため、見積もりを比較するときは、売却価格、月額賃料、契約期間、更新条件などをまとめて確認しましょう。

売却価格とリースバック後の賃料をセットで確認する

法人がリースバックを利用する場合は、売却によって一時的に確保できる資金と、今後発生する賃料の両方を見る必要があります。

短期的な資金繰りだけでなく、数年単位で事業を継続した場合のキャッシュフローまで考慮して判断することが重要です。

法人がリースバックを利用するメリット5選

法人が所有する事業用不動産をリースバックすると、不動産を売却して資金を確保しながら、これまでと同じ場所で事業を継続できる可能性があります。また、銀行融資とは異なる方法で資金調達できる点も特徴です。

ここでは、法人がリースバックを利用する主なメリットを5つ紹介します。

それぞれ順に解説いたします。

事業を継続しながら不動産を資金化できる

リースバックの大きなメリットは、不動産を売却した後も同じ物件を利用できることです。通常の不動産売却では、売却後に物件を明け渡して別の事業拠点を探す必要がありますが、リースバックでは売却後に賃貸借契約を結ぶことで、これまでと同じ場所で事業を継続できます。

自社ビルや工場、倉庫など、移転が難しい事業用不動産を所有している法人にとっては、事業拠点を維持しながら不動産を資金化できる点が大きなメリットです。

特に工場や店舗などでは、移転先の確保だけでなく、設備の移設や内装工事、取引先への案内などにも費用や時間がかかります。リースバックであれば、こうした移転に伴う負担を抑えながら、保有している不動産を資金調達に活用できる可能性があります。

ただし、売却後は賃料を支払って物件を利用することになるため、長期的な賃料負担まで考慮して判断することが重要です。

保有している不動産を資金調達に活用できる

法人が保有している不動産は、売却することでまとまった資金に変えられます。事業用不動産は土地や建物の規模が大きいケースもあるため、会社が保有する資産を活用した資金調達方法の一つとしてリースバックを検討できます。

たとえば、運転資金の確保や設備投資、新規事業への投資など、法人がまとまった資金を必要とする場面で活用できる可能性があります。金融機関からの借入だけに頼らず、保有資産を資金化する選択肢を持てる点が特徴です。

また、不動産を売却した後も同じ物件を利用できるため、事業に必要な不動産を手放して事業そのものを縮小する必要がありません。

ただし、売却によって所有権は買主側に移るため、将来的に不動産を売却前と同じように自由に扱えるわけではありません。資金使途だけでなく、今後の不動産利用についても考えたうえで検討する必要があります。

銀行融資とは異なる資金調達手段になる

法人の資金調達では、銀行融資が代表的な方法の一つです。銀行融資では、法人の財務状況や事業計画、返済能力などをもとに審査を受け、借入金として資金を調達します。

一方、リースバックは不動産を売却して資金を得る仕組みです。融資とは異なり、借入によって資金を調達する方法ではないため、既存の借入状況や今後の資金調達計画なども含めて、別の選択肢として比較できます。

たとえば、すでに金融機関からの借入が多く、追加融資を受けることが難しい場合などには、保有している不動産を活用したリースバックが選択肢になる可能性があります。

ただし、リースバックでは不動産を売却するため、所有権を維持したまま資金を調達できる不動産担保ローンとは仕組みが異なります。資金調達額だけでなく、所有権や返済・賃料負担などの違いも比較して、自社に適した方法を選ぶことが大切です。

まとまった資金を確保できる可能性がある

事業用不動産は、土地や建物の価値が大きいケースも多く、売却によってまとまった資金を確保できる可能性があります。

法人が保有する不動産をそのまま資産として持ち続けるのではなく、必要なタイミングで現金化することで、資金繰りの改善や事業への投資などに活用できる可能性があります。

特に、長期間保有している不動産の価値が大きくなっている場合には、現在の資産価値を確認するきっかけにもなります。リースバックの見積もりを取ることで、「現在の不動産を売却するとどの程度の資金になるのか」を具体的に把握できます。

ただし、実際の売却価格は物件の所在地や土地・建物の状態、用途、周辺の不動産相場などによって異なります。希望する金額を確保できるとは限らないため、まずは査定や見積もりを受け、実際の条件を確認することが重要です。

不動産の維持・管理にかかる負担を軽減できる場合がある

不動産を所有している法人は、固定資産税や都市計画税、建物の修繕費、設備の維持費など、所有に伴うさまざまなコストを負担しています。建物が老朽化すれば、大規模な修繕や設備更新が必要になることもあります。

リースバックによって不動産の所有権を移転すると、これまで所有者として負担していた費用の一部について、負担のあり方が変わる可能性があります。不動産を所有し続ける場合と比べて、資産管理の負担を見直せる点はメリットの一つです。

また、不動産を売却することで、法人のバランスシート上の資産構成を見直すきっかけにもなります。保有不動産を資金化し、事業に必要な資金へ振り替えることで、経営資源の使い方を見直せる可能性があります。

ただし、所有権を手放した後も物件を利用するためには賃料が発生します。固定資産税や修繕費などの負担が軽くなったとしても、賃料が新たな固定費となるため、「所有する場合」と「リースバックする場合」の総コストを比較して判断することが重要です。

法人のリースバックと他の資金調達方法を比較

法人が事業用不動産を活用して資金を調達する方法には、リースバックのほかにも銀行融資や不動産担保ローン、通常の不動産売却などがあります。それぞれ資金の調達方法や不動産の扱い、事業継続の可否などが異なるため、自社の資金需要や今後の事業計画に合った方法を選ぶことが重要です。

スクロールできます
資金調達方法不動産の売却事業継続借入資金使途
リースバックなし契約条件による
銀行融資×あり融資条件による
不動産担保ローン×あり融資条件による
通常の不動産売却なし原則自由

ここでは、リースバックと代表的な資金調達方法の違いを比較し、それぞれどのような法人に向いているのかを解説します。

それぞれ順に解説いたします。

リースバックと銀行融資の違い

銀行融資では、法人が金融機関から資金を借り入れ、契約に基づいて元金や利息を返済していきます。融資を受けても不動産の所有権は法人に残るため、事業用不動産をそのまま保有しながら資金を調達できます。

一方、リースバックでは、法人が所有する不動産を売却して資金を調達します。売却後は所有権が買主側に移りますが、賃貸借契約を結ぶことで、法人は引き続き同じ物件を利用できます。

そのため、銀行融資とリースバックでは、資金調達の仕組みだけでなく、不動産の所有権や資金調達後の負担も異なります。銀行融資では借入金の返済が必要になるのに対し、リースバックでは売却後の賃料が発生します。

どちらが適しているかは、法人の財務状況や必要な資金額、不動産の価値、現在の借入状況、今後の事業計画などによって異なります。追加融資を受けられる可能性がある場合は融資と比較し、不動産を資金化するメリットが大きい場合はリースバックを検討するなど、自社の状況に合わせて判断するとよいでしょう。

リースバックと不動産担保ローンの違い

不動産担保ローンは、法人が所有する不動産を担保として金融機関などから融資を受ける方法です。不動産そのものを売却するわけではないため、融資を受けた後も不動産の所有権は法人に残ります。

そのため、自社ビルや工場などを今後も所有し続けたい法人にとっては、不動産担保ローンが選択肢になる場合があります。一方で、借入金の返済が必要になるほか、融資額や金利、返済期間などは審査によって決まります。

リースバックでは、不動産を売却するため所有権は買主側に移ります。その後は賃貸借契約を結び、法人が賃料を支払いながら物件を利用します。

つまり、「所有権を維持したまま資金を調達するか」「不動産を売却して資金化するか」が大きな違いです。不動産を今後も資産として保有したいのか、それとも売却して資金を確保したいのかを整理したうえで比較することが重要です。

また、リースバックでは売却価格だけでなく、売却後の賃料や契約期間なども確認する必要があります。不動産担保ローンと比較する場合は、調達できる金額だけでなく、将来的な返済・賃料負担まで含めて検討しましょう。

リースバックと通常の不動産売却の違い

通常の不動産売却では、法人が所有する不動産を買主に売却し、売却代金を受け取った後に物件を明け渡すことが一般的です。売却後は法人がその不動産を利用できなくなるため、新しい事業所や工場、倉庫などを確保する必要があります。

一方、リースバックでは、不動産を売却した後も賃貸借契約に基づいて同じ物件を利用できます。売却によって資金を確保しながら、事業拠点を維持できる点が通常の不動産売却との大きな違いです。

たとえば、自社ビルを通常売却する場合は、売却後に別のオフィスへ移転する必要があります。工場であれば、生産設備の移設や新しい工場の確保など、大きなコストや時間が発生する可能性があります。

リースバックであれば、こうした移転をせずに事業を継続できる可能性があります。ただし、売却後は賃料が発生するため、通常の売却とリースバックのどちらが有利かは、売却価格だけでは判断できません。

「不動産を売却して資金化したいが、現在の事業拠点は維持したい」という法人では、通常の不動産売却とあわせてリースバックを比較する価値があります。

法人がリースバックの見積もりを依頼する流れ

法人がリースバックの見積もりを依頼する際は、まず対象となる事業用不動産の情報を伝え、査定を受けます。その後、物件の調査や条件の確認を経て、売却価格やリースバック後の賃料などが提示されます。

見積もりから契約、資金化までの流れは事業者によって異なるため、どの段階で何を確認するのかを把握しておくことが大切です。

ここでは、法人がリースバックの見積もりを依頼してから、資金化するまでの一般的な流れを紹介します。

STEP
相談・問い合わせ

まずはリースバックを取り扱っている事業者に相談します。

この段階では、物件の所在地や種類、法人の利用状況などを伝え、リースバックの対象になるか確認します。

STEP
物件情報の確認

不動産の所在地、土地・建物の面積、築年数、用途などの情報をもとに、査定に必要な情報を確認します。

STEP
机上査定・仮見積もり

提供した物件情報などをもとに、概算の査定額やリースバック条件を確認します。

短期間で概算を確認できる場合もありますが、対応期間や査定方法は事業者によって異なります。

STEP
現地調査・本査定

必要に応じて担当者が物件を確認し、より詳細な査定を行います。

建物の状態や設備、周辺環境などを確認することで、机上査定より具体的な条件が提示されます。

STEP
売却価格・賃料などの条件提示

査定後、売却価格やリースバック後の賃料、契約期間などの条件が提示されます。

契約を急がず、売却価格だけでなく、賃料や契約条件を含めて確認しましょう。

STEP
売買契約・賃貸借契約

条件に合意した場合は、不動産の売買契約と、売却後に利用するための賃貸借契約などを締結します。

STEP
売却代金の受け取り・利用開始

契約内容に基づいて売却代金を受け取り、その後も賃料を支払いながら事業用不動産を利用します。

リースバックの見積もりに必要な情報・書類

リースバックの見積もりを依頼する際は、対象となる不動産の情報だけでなく、所有権や抵当権などの権利関係、法人の財務状況を確認できる資料が必要になる場合があります。特に事業用不動産は、工場や倉庫など物件ごとの用途や設備によって確認事項が異なるため、事前に必要な資料を確認しておくとスムーズです。

必要な書類は事業者や物件の状況によって異なりますが、一般的には以下のような資料を準備します。

それぞれ順に解説いたします。

不動産の所在地・物件情報

不動産登記簿謄本は、対象となる土地や建物の所有者、所在地、面積、抵当権などの権利関係を確認するために使用します。

リースバックでは、不動産を誰が所有しているのかだけでなく、金融機関などの抵当権が設定されているかどうかも重要です。法人名義の不動産であれば、会社が所有者として登記されているかなども確認されます。

すでに金融機関から融資を受けている場合は、抵当権の設定状況によってリースバックの条件が変わる可能性があるため、最新の登記情報を用意しておくとよいでしょう。

土地・建物の面積

土地面積や建物面積も、リースバックの見積もりに必要となる基本的な情報です。

同じ地域にある事業用不動産でも、土地や建物の規模によって不動産としての価値は変わります。特に工場や倉庫などは広い土地を使用しているケースも多いため、土地と建物それぞれの面積を確認しておきましょう。

登記簿謄本や固定資産税に関する書類などから確認できる場合もあります。手元に資料がない場合でも、所在地などを伝えて相談できるケースがあるため、まずは事業者に確認してみるとよいでしょう。

登記情報

登記情報は、不動産の所有者や所在地、土地・建物の面積、抵当権などの権利関係を確認するために使用します。

法人が所有する事業用不動産の場合、会社名義で登記されているか、第三者の権利が設定されていないかなどを確認する必要があります。

特に金融機関から融資を受けている不動産では、抵当権が設定されていることがあります。リースバックの可否や条件に関係する可能性があるため、登記情報はできるだけ最新のものを用意しておくと安心です。

固定資産税評価額

固定資産税評価額も、不動産の価値を確認するための参考情報の一つです。

固定資産税評価額は市場で実際に売買される価格とは異なりますが、土地や建物の評価を確認する際に利用されます。

固定資産税納税通知書や課税明細書などに記載されている場合があるため、手元にある場合は準備しておくとよいでしょう。

ただし、リースバックの売却価格は固定資産税評価額だけで決まるわけではありません。市場価値や立地、建物の状態、周辺の不動産相場など、複数の要素をもとに査定されます。

現在の借入・抵当権に関する情報

対象となる不動産について金融機関などから借入をしている場合は、現在の借入残高や抵当権の設定状況なども確認しておきましょう。

リースバックでは、不動産を売却して得た資金を既存の借入返済に充てるケースもあります。そのため、売却価格だけでなく、借入金を返済した後にどの程度の資金を確保できるのかを確認することが重要です。

借入残高が分かる資料や抵当権に関する情報を準備しておけば、より具体的な条件で相談しやすくなります。

また、抵当権が設定されているからといって、必ずしもリースバックを利用できないとは限りません。対応の可否や条件は個別に判断されるため、借入が残っている場合でもまずは相談してみるとよいでしょう。

法人の決算書などの財務情報

法人向けリースバックでは、対象となる不動産だけでなく、法人の財務状況を確認するために決算書などの提出を求められる場合があります。

リースバックでは、不動産を売却した後も法人が賃料を支払って物件を利用します。そのため、売却価格だけでなく、今後も賃料を継続して支払えるかどうかを含めて確認される場合があります。

決算書のほか、事業者によっては試算表や法人の概要が分かる資料などを求められることもあります。必要となる書類や対象となる決算期は事業者によって異なるため、見積もりを依頼する際に確認しておきましょう。

賃貸借契約に関する情報

対象となる不動産を第三者に貸し出している場合は、現在の賃貸借契約に関する情報も確認されることがあります。

たとえば、テナントが入っている店舗やオフィス、倉庫などでは、現在の賃料、契約期間、更新条件などを確認する必要があります。リースバック後の利用方法や物件の収益性を判断するうえでも、既存の契約内容が重要になる場合があります。

そのため、第三者に賃貸している事業用不動産でリースバックを検討する場合は、賃貸借契約書を準備しておくとよいでしょう。自社で使用している物件で、第三者との賃貸借契約がない場合は、該当する資料が不要となるケースもあります。

法人がリースバックの見積もりを比較するときのポイント

リースバックの見積もりは、売却価格だけを見て比較するのではなく、売却後の賃料や契約期間、買い戻し条件なども含めて確認することが重要です。特に法人の場合は、事業を継続しながら利用するケースが多いため、目先の資金調達額だけでなく、中長期的なキャッシュフローへの影響も考える必要があります。

また、同じ事業用不動産でも、事業者によって査定額や契約条件が異なる場合があります。複数の見積もりを比較し、売却後も無理なく事業を継続できる条件なのかを確認しましょう。

それぞれ順に解説いたします。

売却価格だけで比較しない

リースバックの見積もりを比較するとき、最初に目が行きやすいのが不動産の売却価格です。もちろん、どれだけの資金を確保できるかは重要ですが、売却価格だけで利用する事業者を決めるのは避けたほうがよいでしょう。

リースバックでは、不動産を売却した後も物件を利用するため、毎月の賃料が発生します。売却価格が高くても、その分賃料が高ければ、長期的には法人の負担が大きくなる可能性があります。

そのため、「いくらで売れるか」だけでなく、「売却後にいくら支払うのか」「何年間利用するのか」まで含めて比較することが大切です。

リースバック後の月額賃料を確認する

リースバックでは、不動産の売却後に賃貸借契約を結び、毎月賃料を支払いながら物件を利用します。そのため、月額賃料は売却価格と同じくらい重要な比較項目です。

特に法人の場合、自社ビルや工場などを長期間利用することもあります。月額賃料が事業のキャッシュフローに与える影響を考え、無理なく支払いを続けられる金額なのか確認しましょう。

また、見積もりを比較するときは、単純に月額賃料だけを見るのではなく、契約期間も合わせて確認することが重要です。長期間利用する場合は、毎月の賃料が積み重なることで総負担額が大きくなる可能性があります。

契約期間や更新条件を確認する

事業用不動産のリースバックでは、「売却後もそのまま使えること」が重要なポイントになります。そのため、月額賃料だけでなく、どのくらいの期間利用できるのかも確認しておきましょう。

契約期間が短い場合、契約終了後に更新できなければ、事業所や工場などを移転しなければならなくなる可能性があります。特に事業拠点の移転に大きなコストや時間がかかる法人では、契約期間は重要な判断材料です。

見積もりを比較するときは、契約期間だけでなく、更新の可否や更新時の条件、契約終了となるケースなども確認しておくと安心です。

買い戻し条件を確認する

将来的に不動産を買い戻す可能性がある場合は、買い戻しの条件も確認しておきましょう。

リースバックでは、売却した不動産を将来的に買い戻せる契約が設定される場合があります。ただし、買い戻しの可否や時期、価格などの条件は契約によって異なります。

「買い戻せる」という説明だけで判断するのではなく、どのような条件で買い戻せるのか、買い戻しに必要な資金はどの程度になるのかまで確認しておくことが重要です。

売却・契約にかかる諸費用を確認する

リースバックを利用する際は、提示された売却価格がそのまま法人の手元に残るとは限りません。売却や契約に関連して、条件によってさまざまな費用が発生する場合があります。

そのため、見積もりを比較するときは「売却価格はいくらか」だけでなく、「最終的にいくらの資金を確保できるのか」を確認しましょう。

また、事業者によって費用の扱いが異なる可能性もあるため、見積もりの段階で費用の内訳を確認しておくと、複数社を比較しやすくなります。

複数の事業者から見積もりを取る

リースバックの条件は、同じ不動産でも事業者によって異なる可能性があります。査定額だけでなく、月額賃料や契約期間、更新条件などにも違いが出る場合があるため、できるだけ複数の事業者から見積もりを取ることをおすすめします。

複数の見積もりを比較すれば、自社の不動産がどの程度の価格で評価されるのかを把握しやすくなります。また、売却価格が高い事業者と賃料が低い事業者など、それぞれの条件を比較することで、自社に合った契約を選びやすくなります。

ただし、見積もりの数字だけでなく、契約期間や更新条件、買い戻しの可否なども確認しましょう。「いくらで売れるか」ではなく、「どの条件なら資金調達後も事業を安定して続けられるか」という視点で比較することが大切です。

法人のリースバックで注意したいデメリット

法人のリースバックは、事業用不動産を売却して資金を確保しながら、売却後も同じ物件を利用できる点がメリットです。一方で、不動産の所有権を手放すことや、売却後に賃料が発生することなど、事前に確認しておきたい注意点もあります。

特に法人の場合、自社ビルや工場、倉庫などを長期間にわたって事業拠点として利用するケースもあります。短期的な資金調達だけで判断すると、後から賃料負担や契約期間などが経営上の負担になる可能性もあるため注意が必要です。

ここでは、法人がリースバックを利用する前に確認しておきたい主なデメリットを紹介します。

それぞれ順に解説いたします。

売却後は毎月の賃料が発生する

リースバックでは、不動産を売却した後も同じ物件を利用できますが、所有者ではなく賃借人として利用することになります。そのため、売却後は毎月の賃料を支払う必要があります。

不動産を売却することでまとまった資金を確保できても、その後の事業活動で継続的な賃料負担が発生する点には注意が必要です。

特に自社ビルや工場など、面積の大きな事業用不動産では、月額賃料が法人のキャッシュフローに与える影響も大きくなります。リースバックを検討する際は、売却によって得られる資金だけでなく、売却後の賃料を継続して支払えるかどうかも含めて資金計画を立てましょう。

長期利用すると賃料負担が大きくなる可能性がある

リースバック後の賃料は毎月発生するため、長期間にわたって物件を利用すると、賃料の総額が大きくなる可能性があります。

たとえば、月額賃料だけを見ると無理なく支払える金額でも、5年、10年と事業を継続すれば、累計の支払額は大きくなります。

そのため、リースバックの見積もりを比較するときは、売却時に得られる資金だけでなく、想定する利用期間に応じた賃料負担も確認することが重要です。

特に「一時的な資金繰りの改善を目的として利用するのか」「今後も長期間その物件を使い続けるのか」によって、リースバックのメリットは変わってきます。

希望する価格で売却できるとは限らない

リースバックでは、法人が希望する金額で必ず不動産を売却できるわけではありません。

売却価格は、不動産の市場価値や土地・建物の状態、立地、用途、周辺の不動産相場など、さまざまな要素をもとに決まります。また、リースバックでは売却後も法人が物件を利用するため、通常の不動産売却とは異なる条件で査定される場合があります。

そのため、「この不動産なら○億円で売れるはず」と想定して資金計画を立てるのではなく、実際に複数の事業者から見積もりを取り、どの程度の資金を確保できるのか確認することが大切です。

契約条件によっては利用を継続できない場合がある

リースバックを利用したからといって、必ずしも将来にわたって同じ不動産を使い続けられるわけではありません。売却後は賃貸借契約に基づいて物件を利用するため、契約期間や更新条件を確認する必要があります。

契約期間が終了した際に更新できない場合、法人は別の事業所や工場などを探して移転しなければならない可能性があります。

事業用不動産は、住宅と比べて移転に時間や費用がかかるケースもあります。設備の移設や取引先への案内、従業員の通勤環境など、事業への影響が大きくなる可能性もあるため、長期利用を想定している場合は契約期間や更新条件を特に確認しておきましょう。

買い戻しには別途資金が必要になる

将来的に事業が安定した場合などに、売却した不動産を買い戻したいと考える法人もあるでしょう。

ただし、買い戻しが可能な契約であっても、実際に不動産を取り戻すためには別途資金が必要になります。また、買い戻しの時期や価格などの条件は契約内容によって異なります。

「将来的に買い戻せる」という点だけを見て判断するのではなく、買い戻しができる条件や価格、手続きなどを事前に確認しておくことが重要です。

将来的な買い戻しを資金計画に組み込む場合は、リースバックの契約時点で具体的な条件を確認し、口頭での説明だけでなく契約書などの書面で確認しておきましょう。

法人のリースバック見積もりに関するよくある質問

法人でもリースバックの見積もりを依頼できますか?

はい。法人が所有する事業用不動産を対象としたリースバックを取り扱っている事業者があります。

ただし、対応できる物件の種類や法人の条件は事業者によって異なるため、自社の不動産が対象になるか確認してから見積もりを依頼しましょう。

自社ビル以外の工場や倉庫もリースバックできますか?

工場や倉庫、店舗などの事業用不動産を対象としている事業者もあります。

ただし、用途や立地、物件の規模などによって対応可否が変わる場合があります。

リースバックの査定にはどれくらい時間がかかりますか?

査定方法や物件の内容によって異なります。

物件情報をもとにした机上査定であれば比較的短期間で概算を確認できる場合がありますが、現地調査や詳細な審査が必要な場合はさらに時間がかかることがあります。

見積もりだけでも依頼できますか?

見積もりや査定のみを相談できる事業者もあります。

契約を前提とせず、まずは自社の不動産がどの程度の価格になるのか確認したい場合は、見積もり段階で契約義務が発生するのかを確認しておくと安心です。

見積もり後も同じ不動産を使い続けられますか?

リースバックでは、売却後に賃貸借契約を締結することで、同じ不動産を継続して利用する仕組みが一般的です。

ただし、実際の利用期間や更新条件は契約内容によって異なります。

リースバックの見積もりは無料ですか?

無料で査定や見積もりを受け付けている事業者もあります。

ただし、査定方法や契約時に発生する費用は事業者によって異なるため、申し込み前に確認しましょう。

赤字や債務超過の法人でも利用できますか?

法人の財務状況だけで一律に利用可否が決まるとは限りませんが、実際の対応可否は事業者や不動産の状況によって異なります。

赤字や債務超過などの事情がある場合でも、まずは対象不動産や借入状況を伝えて相談してみるとよいでしょう。

抵当権が付いている不動産でもリースバックできますか?

抵当権が設定されている不動産については、借入残高や抵当権の状況などを確認する必要があります。

対応できるかどうかは個別の事情によって異なるため、金融機関からの借入状況を整理したうえで事業者に相談してください。

法人の事業用不動産をリースバックするならまずは見積もりを

法人がリースバックを利用する場合、重要なのは「不動産をいくらで売却できるか」だけではありません。

売却価格に加えて、売却後の月額賃料、契約期間、更新条件、買い戻し条件などを確認し、事業を継続した場合の資金負担まで考える必要があります。

特に自社ビルや工場、倉庫などの事業用不動産は、物件の用途や立地、規模などによって査定条件が大きく異なる可能性があります。

そのため、まずは自社の不動産がいくらで評価されるのか、リースバック後の賃料はいくらになるのかを確認してみましょう。

複数の事業者から見積もりを取り、売却価格だけでなく契約条件まで比較することで、自社に適した資金調達方法か判断しやすくなります。

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