リバースファクタリングとは?通常ファクタリングとの違いを図解で解説

リバースファクタリングとは?通常ファクタリングとの違いを図解で解説

「外注先への支払いが重なって、手元の現金が少し足りないかもしれない」

「リバースファクタリングという言葉を知ったけど、普通のファクタリングとはどう違うのだろう?」

事業を運営していく中で、手元のキャッシュをどう確保するかは、多くの中小企業や個人事業主の方にとって尽きない悩みですよね。資金繰りを改善する解決策として、最近注目を集めているのがリバースファクタリングというサービスです。

リバースファクタリングは、自社の支払いを先延ばしにしながらも、外注先には早くお金を届けることができる画期的な仕組み。しかし、名前を聞いたことはあっても、具体的な仕組みやメリット、デメリットがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、リバースファクタリングの基本的な仕組みから、通常のファクタリングとの違い、そしてメリットや注意点について解説します。最後まで読むことで、ご自身のビジネスにリバースファクタリングを取り入れるべきかどうかがわかるでしょう。ぜひ参考にしてください。

目次

リバースファクタリングとは?基本的な仕組みを図解で解説

リバースファクタリングの仕組みの図解

リバースファクタリングの仕組みを一言で表すと、ファクタリング会社が利用者に代わって、外注先への支払いを先に立て替えてくれるシステムです。

発注側である企業の「支払いたいけれど少し待ってほしい」という要望と、受注側である外注先の「できるだけ早く代金を受け取りたい」という要望を、どちらも同時に叶えてくれます。

以下では、リバースファクタリングの具体的な仕組みについて、それぞれの役割やお金の流れが直感的にわかるように、図解付きで詳しく解説していきます。

リバースファクタリングとは買掛金を対象とした発注側のファクタリング

リバースファクタリングとは、自社が支払う予定の「買掛金」を対象とした、発注側が主導する資金調達の手法です。

これまでは、お金を受け取る側(受注側)が自らの売掛金を現金化するのが一般的でした。しかし、リバースファクタリングでは、お金を支払う側(発注側)が自ら申し込みを行います。こうすることで、発注側は手元の現金を減らさずに、資金繰りに余裕を持たせることができるからです。

たとえば、多くの外注先を抱えていると、月末の支払いが重なって銀行口座の残高が心細くなることがありますよね。そのようなときにリバースファクタリングを活用すれば、ファクタリング会社が支払いを立て替えてくれるため、事業をスムーズに回すことができます。

リバースファクタリングの主な特徴は以下の通り。

  • 対象となるのは自社の「買掛金」である
  • 申し込みの手続きは発注側が行う
  • 外注先への支払いはファクタリング会社が先に立て替える
  • 自社は後日、ファクタリング会社に対して支払いを行う

リバースファクタリングは発注側の視点に立った、新しい資金繰りのサポートシステムだといえます。

ファクタリングとリバースファクタリングの違い

通常のファクタリングとリバースファクタリングの最も大きな違いは、「誰がサービスを利用するのか」という点です。通常のファクタリングはお金を受け取る受注側が利用しますが、リバースファクタリングはお金を支払う発注側が利用します。

なぜ主導する立場が変わるのかというと、対象となる債権の種類が違うからです。通常のファクタリングは受注側が持つ「売掛金」を対象としているのに対し、リバースファクタリングは発注側が抱える「買掛金」を対象としています。

たとえば、あなたが仕事を受注して「早くお金が欲しい」と考えたときに使うのが通常のファクタリングです。一方で、あなたが仕事を外注して「支払いを少し待ってほしいけれど、相手には早くお金を払ってあげたい」と考えたときに使うのがリバースファクタリングとなります。

両者の違いを整理すると以下のようになります。

  • 通常のファクタリング:受注側が利用、売掛金が対象、手数料は受注側が負担
  • リバースファクタリング:発注側が利用、買掛金が対象、手数料の負担は契約による

このように、リバースファクタリングは立場が逆転していることがわかると思います。

利用には電子記録債権(でんさい)の導入が必須条件

リバースファクタリングを利用するためには、「電子記録債権(でんさい)」の導入が欠かせない条件となります。紙の手形や振り込みによる従来の決済方法ではなく、インターネット上で債権を管理する仕組みが必要になるからです。

でんさいを導入する大きな理由は、取引の透明性を高め、手続きをスムーズにするためです。リバースファクタリングは発注企業、受注企業、ファクタリング会社の3者間で行われる取引。もしこれを紙の書類でやり取りしようとすると、郵送の手間や紛失のリスクがあり、手続きに時間がかかってしまいます。

でんさいを導入することで、以下のようなメリットがあります。

  • ペーパーレス化により印紙代が不要になる
  • パソコンやスマートフォンから簡単に手続きできる
  • 債権の発生や譲渡の記録が安全に管理される
  • 3者間の情報共有がオンラインで瞬時に行われる

これからリバースファクタリングを始めようと考えている方は、まずご利用の金融機関などで、でんさいネットへの参加手続きを進める必要があります。一度導入してしまえば、その後の経理業務がぐっと楽になります。

実際の取引発生から資金決済までの流れを図解で解説

実際の取引発生から資金決済までの流れの図解

リバースファクタリングの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 発注(自社)から納品・請求(外注先)が行われる
  2. 自社がでんさいを通じて、買掛金の発生記録を金融機関に登録する
  3. 外注先が、リバースファクタリングの利用を承諾する
  4. ファクタリング会社が、外注先の口座へ期日より早く代金を振り込む(立て替え)
  5. 当初の支払い期日になったら、自社がファクタリング会社へ代金を支払う

流れがスムーズに進む理由は、でんさいを通じて3者間の情報がリアルタイムで共有されるからです。たとえば、あなたが外注先に仕事をお願いし、無事に納品が完了したとします。そこから先は、オンライン上の手続きだけで決済まで進むことができるのです。

発注企業から見たリバースファクタリングのメリット5つ

リバースファクタリングを導入することには、仕事を発注する側の企業にとって、単なる支払い代行以上の価値があります。資金繰りの改善だけでなく、日常の業務効率化や取引先との関係構築など、会社全体の経営を良くするさまざま効果が期待できます。

毎月の支払いに頭を悩ませている経営者の方や、経理担当者の負担を減らしたいと考えている方にとって、リバースファクタリングは強力な味方になるでしょう。ただお金を借りるのとは違い、すでに発生している買掛金を活用する仕組みなので、負債を過剰に増やすことなくスマートに資金をコントロールできるのも魅力です。

以下では、発注企業から見たリバースファクタリングの代表的なメリットを5つピックアップして、それぞれ詳しく解説していきます。

支払いサイトの延長で資金繰りが改善される

発注企業にとって大きなメリットは、支払いサイト(締め日から実際の支払い日までの期間)を実質的に延長でき、資金繰りが改善されることです。手元の現金がすぐに出ていかないため、事業資金として自由に使えるお金を確保できます。

通常の取引では、月末締めの翌月末払いなど、決まった期日に必ず現金を準備しなければなりません。しかし、リバースファクタリングを利用すれば、ファクタリング会社が外注先へ先に支払いを済ませてくれます。自社からファクタリング会社への支払いはさらに先になるため、キャッシュフローにゆとりが生まれるのです。

資金繰りが改善されることで、以下のような良い影響があります。

  • 手元に現金が残り、突発的な出費にも慌てず対応できる
  • 銀行融資に頼らなくても、一時的な資金不足を乗り切れる
  • 設備投資や仕入れなど、前向きな事業展開に資金を回せる

毎月の支払いに追われて「入金より先に出金が来てしまう」と悩んでいる方にとって、リバースファクタリングは資金の波を穏やかにしてくれる心強い仕組みだといえます。

支払先を一本化し振込手数料と経理工数を削減できる

リバースファクタリングを導入すると、毎月の振込手数料や経理担当者の作業負担を減らすことができます。これまで多数の外注先に個別に行っていた支払いを、ファクタリング会社1社への支払いにまとめられるからです。

たとえば、毎月10社の外注先に振り込みをしている場合、それぞれの口座情報を確認し、1件ずつ振込手続きを行うのは時間も手間もかかりますよね。振込手数料も、塵も積もれば大きな金額になります。

しかし、リバースファクタリングを使えば、ファクタリング会社が各社への支払いを行ってくれるため、自社は後日、ファクタリング会社の口座にまとめて振り込むだけで完了します。

リバースファクタリングは、バックオフィスの業務効率を上げるためのツールとしても役立つのです。

支払い条件の改善で優良な外注先との継続取引が増える

リバースファクタリングを活用することで、スキルが高く信頼できる外注先と、長期的に良い関係を築くことができます。外注先に対して「早期に代金を受け取れる」という、魅力的な支払い条件を提示できるようになるのが理由です。

優れた技術を持つフリーランスや優良な下請け企業は、引く手あまたです。彼らが仕事を選ぶ際、単価だけでなく「どれくらい早くお金を支払ってくれるか」も重要な判断基準になります。リバースファクタリングを提案できれば、発注側は資金繰りを圧迫せずに、相手にはいち早く報酬を届けることができます。

相手の資金繰りにも配慮できる企業は、業界内でも評判が良くなります。リバースファクタリングは、大切なビジネスパートナーとの絆を深めるための投資ともいえるのです。

買掛金の進捗をオンラインで一元管理できる

リバースファクタリングを利用すると、今どれくらいの支払い予定があるのか、一目で正確に把握できるようになります。電子記録債権(でんさい)のシステムを通じて、買掛金の状況をオンライン上で一元管理できるからです。

従来の紙の請求書や表計算ソフトを使った管理では、情報がバラバラになりがちで、「あの外注先への支払いは済んだっけ?」と混乱することがあります。しかし、リバースファクタリングのシステムを使えば、インターネットにつながっていれば、いつでもどこでも最新の支払い状況を確認できます。

結果として、以下のようなメリットが生まれます。

  • リアルタイムで買掛金の残高がわかるため資金計画が立てやすい
  • 紙の書類をめくって確認する手間が省ける
  • 担当者が複数いても、オンライン上で最新情報を共有できる
  • 過去の取引履歴も簡単に検索して振り返ることができる

経営者や経理担当者にとって、数字が可視化されることは大きな安心につながります。スマートな財務管理を実現する第一歩になります。

サプライヤーの連鎖倒産リスクを未然に防げる

リバースファクタリングを導入することは、自社だけでなく、サプライチェーン全体を守ることにもつながります。外注先や下請け企業(サプライヤー)が資金ショートに陥り、連鎖的に倒産してしまうリスクを未然に防ぐ手段となります。

ビジネスは、多くの外注先の協力があって成り立っています。もし重要な部品を作ってくれる会社や、メインのシステムを開発しているフリーランスが資金繰りに行き詰まってしまったら、自社の事業もストップしてしまいます。リバースファクタリングで彼らに早く資金を提供できれば、そのような事態を避けられます。

リバースファクタリングは、取引先みんなで助け合い、共に成長していくためのものでもあるのです。

受注企業(外注先)から見たリバースファクタリングのメリット3つ

リバースファクタリングは、仕事を受ける受注側(外注先)にとってもメリットがあります。むしろ、実際に早期にお金を受け取ることができる受注側のほうが、日々の業務の中で直接的な恩恵を感じやすいかもしれません。

フリーランスや下請け企業の中には、「仕事はたくさんあるのに、入金が数ヶ月先だから手元の生活費や経費が足りない」と悩んでいる方も多いですよね。発注元からリバースファクタリングの利用を提案されたら、それは資金繰りの悩みを解消できるチャンスです。

手数料の負担ルールなどは契約によってさまざまですが、それを差し引いても得られるメリットは大きいです。

以下で、受注企業(外注先)から見たリバースファクタリングのメリットを3つに絞って詳しく解説していきます。

それぞれ順に解説いたします。

売掛金の早期回収で資金繰りが安定する

受注側にとっての最大の魅力は、売掛金を通常の支払い期日よりも早く回収でき、資金繰りが安定することです。

リバースファクタリングでは、納品が完了して発注側の承認が下りれば、ファクタリング会社から期日前に代金が振り込まれる仕組みになっています。

たとえば、月末締めの翌々月末払いという条件で仕事をした場合、現金が手に入るのは約2ヶ月も先になります。その間にも、材料費の支払いやスタッフの給料、家賃などの経費は容赦なく出ていきますよね。

リバースファクタリングを利用すれば、納品後すぐに現金化することも可能になります。「いつ入金されるだろう」という不安から解放され、精神的に楽になります。

頑張って働いた対価をすぐに実感できるため、仕事へのモチベーションアップにつながる効果もあるでしょう。

貸倒れリスクを完全に回避できる

リバースファクタリングを利用すると、せっかく納品したのに代金をもらえない「貸倒れ」のリスクをなくせます。万が一発注元の企業が倒産してしまったとしても、ファクタリング会社からの支払いが保証される、またはすでに立て替え払いが完了しているからです。

通常の取引では、発注元に万が一のことがあれば、売掛金は回収できなくなり、諦めるしかありません。経営体力の少ない中小企業や個人事業主にとって、大きな案件での貸倒れは自社の存続に関わる問題です。しかしリバースファクタリングであれば、間にファクタリング会社が入っているため、そのような不安を抱える必要がなくなります。

リバースファクタリングは、ビジネスを貸倒れの不安から守る、強力な盾となってくれるのです。

優良企業との継続取引機会が拡大する

リバースファクタリングを導入している発注元と取引することで、長期的に安定した仕事を得られるチャンスが広がります。

リバースファクタリングを導入できる発注元は、審査をクリアした社会的信用の高い企業です。仕事を請け負う立場からすると、単発で終わる仕事よりも、継続して発注してくれる安定したクライアントを見つけることが大切ですよね。リバースファクタリングは、そんな優良企業を見分ける手段ともなります。

リバースファクタリングをわざわざ導入して外注先の資金繰りにまで配慮してくれる企業は、ビジネスパートナーを大切にする姿勢と体力を持っているのです。

良い発注元と良い関係を築くことは、受注側にとって大きな財産になります。リバースファクタリングは、信頼できる取引先と長く付き合っていくための架け橋にもなるものといえるでしょう。

リバースファクタリングのデメリットと注意点【発注・受注企業別】

リバースファクタリングは発注側にも受注側にもメリットの多い仕組みですが、利用するにあたって気をつけるべきデメリットや注意点も存在します。資金繰りを良くするために導入したはずが、思わぬコストがかかったり、手続きの壁にぶつかったりしては本末転倒ですよね。

導入を成功させるためには、良い面だけでなく、懸念されるマイナス面も包み隠さず知っておくことが大切です。

ここでは、リバースファクタリングのデメリットを発注企業と受注企業それぞれの立場ごとに分けて解説し、実際に利用する際の重要な注意点についても詳しく解説していきます。事前にハードルを把握し、自社にとって無理のない運用ができるかどうか、しっかりと検討するための参考にしてください。

発注企業(申込企業)のデメリット

発注企業(申込企業)のデメリットと対策の図解

まずは、リバースファクタリングを主導して申し込む立場である、発注企業(申込企業)側のデメリットから見ていきましょう。資金繰りを楽にしたり、業務を効率化したりする見返りとして、発注側にはいくつかのクリアすべき課題や負担がのしかかってきます。

以下で、発注企業が直面しやすい具体的なデメリットを解説します。自社の体力や現状の体制でこれらのデメリットを乗り越えられるかどうか、一つずつ確認してみてください。

それぞれ順に解説いたします。

審査対象が自社の信用力になる

リバースファクタリングを利用する際、審査を通過しなければならないのは、申し込みをする発注企業自身となります。

通常のファクタリングでは売掛先(お金を払う側)の信用力が重視されます。しかしリバースファクタリングでは、ファクタリング会社に立て替え分をあとから支払う「発注企業の返済能力」が問われるのです。

つまり、自社の業績が赤字続きであったり、税金の滞納があったりすると、そもそもリバースファクタリングの審査に落ちてしまい、利用できない可能性があります。ファクタリング会社も確実にお金を回収しなければならないため、経営状況をチェックするのは当然といえるでしょう。

審査に関する主なポイントや注意点は以下の通りです。

  • 直近の決算書などで安定した収益が出ているかを確認される
  • 創業間もない企業や、借入金が多すぎる企業は審査が通りにくい
  • 審査にはある程度の時間がかかるため、すぐには利用開始できない

リバースファクタリングを希望する場合は、まず自社の財務状況が健康であるかを見直す必要があります。

電子記録債権の導入コストが発生

リバースファクタリングを始めるには、電子記録債権(でんさい)のシステムを利用するための初期費用や月額料金がかかる場合があります。手続きをオンライン化し、3者間で安全に債権情報を共有するためには、専用のインフラが必要不可欠だからです。

これまで紙の請求書や通常の銀行振込だけで経理を回していた企業にとって、新しいシステムを導入するのは金銭的にも労力的にもハードルを感じるかもしれません。導入サポートを依頼する場合は、その費用も上乗せされることがあります。経理担当者が新しいシステムを理解するための時間と労力も考慮する必要があるでしょう。

リバースファクタリングによる振込手数料の削減効果と、でんさいの導入・維持コストを比較し、トータルでプラスになるかを計算することが大切です。

手数料負担が継続的に発生

リバースファクタリングを利用する間、ファクタリング会社に対して支払うサービス手数料が継続的に発生します。リバースファクタリングは、利用者に代わって外注先へ代金を立て替え払いし、そのリスクを負う対価として手数料を受け取るビジネスモデルです。

手数料は、一般的に「誰が負担するか」を契約で決められます。もし外注先への配慮として発注企業が全額負担することに決めた場合、毎月の買掛金の支払いにプラスして手数料を払い続けることになり、利益を圧迫する要因になりかねません。

手数料負担に関する注意点は以下の通りです。

  • 立て替えてもらう期間や金額に応じて、手数料の額が変動する
  • 手数料を発注側が負担する場合、長期的に見るとまとまった支出になる
  • 通常の銀行融資の利息と比べて、コストが高くつくケースがある

リバースファクタリングは資金繰りを助けてくれますが、コストがかかる仕組みです。手数料を支払ってでも、手元に現金を残す価値があるかどうかを慎重に見極めましょう。

受注企業(外注先)のデメリット

受注企業(外注先)のデメリットの図解

続いて、仕事を受けてお金を早く支払ってもらう立場である、受注企業(外注先)側のデメリットについて見ていきましょう。早く現金が手に入るのは嬉しいことですが、受け身の立場であるがゆえの弱点もいくつか存在します。

発注元から「次からリバースファクタリングで支払うよ」と提案されたとき、ただ喜んで飛びつく前に、自分たちにどのような対応が求められるのかを知っておく必要があります。

以下では、受注企業(外注先)が直面する可能性のあるデメリットについて解説します。新しい決済方法に戸惑わないためにも、しっかりと確認しておきましょう。

それぞれ順に解説いたします。

電子記録債権への対応が必須

外注先としてリバースファクタリングの恩恵を受けるためには、自身も電子記録債権(でんさい)を利用できるように口座やシステムの設定を行う必要があります。発注企業、受注企業、ファクタリング会社の3者が同じシステム上でつながっていないと、取引が成立しません。

パソコンやスマートフォンの操作が苦手な方や、「今まで通り普通に銀行口座に振り込んでほしいだけなのに」と思う方にとっては、少し手間に感じてしまうプロセスですよね。

でんさい対応に伴う外注先の手間やデメリットは以下の通りです。

  • 取引先の銀行で、でんさいネットの利用申し込みをする手間がかかる
  • インターネットバンキングの契約が必要になる場合が多い
  • システム上で債権の譲渡を承諾するなどの、オンライン操作を覚える必要がある

とはいえ、一度設定を済ませてしまえばその後の操作は難しくありません。早期入金という大きなメリットのための、最初の頑張りどころだと思って取り組むのもよいでしょう。

発注企業の都合に左右される

リバースファクタリングは発注企業が主導するシステムであるため、受注企業は発注側の都合や方針の変更に大きく左右されてしまいます。もし発注企業が「リバースファクタリングをやめる」と言い出せば、それに従わざるを得ません。

また、そもそも発注企業が審査に通らなければ、受注側がどれだけ早期入金を希望しても利用できません。自分たちでコントロールできない部分が多いのが、リバースファクタリングにおける受注側のデメリットです。

発注側の都合に左右されることの具体的なデメリットは以下の通りです。

  • リバースファクタリングの契約が打ち切られると、再び支払いサイトが長くなる
  • 手数料を受注側が負担する契約になった場合、受け取れる報酬が実質的に減ってしまう
  • 複数の発注元がいる場合、リバースファクタリングを使える会社と使えない会社が混在し、管理が複雑になる

資金繰りの計画を立てる際は、リバースファクタリングに完全に依存するのではなく、急に利用できなくなるリスクも想定しておくことが大切です。

リバースファクタリング利用時の注意点

リバースファクタリングを実際に導入するとなった場合、日々の実務において気をつけるべきポイントがいくつかあります。特に経理や契約周りの処理は、これまでと少しルールが変わってくるため、正しい知識を持っておかないと後々トラブルになる可能性があります。

資金繰りが改善して喜んでいたのに、決算の時期になって税理士から指摘を受けたり、外注先と揉めてしまったりしては悲しいですよね。

以下では、リバースファクタリングを安全かつスムーズに利用するための重要な注意点について解説します。

会計処理と税務上の取扱い

リバースファクタリングを利用した場合、通常の買掛金とは異なる会計処理が必要になるため、税理士や会計士に事前に相談しておくのがおすすめです。

たとえば、決算書において買掛金として処理すべきか、それとも短期借入金や電子記録債務として処理すべきかは、契約の細かい内容によって変わってきます。間違った仕訳をしてしまうと、会社の財務状況を正しく把握できなくなってしまいます。

他にも、期末をまたぐ取引がある場合、どのタイミングで費用として計上するか、といったことに注意する必要もあります。

複雑な処理を社内だけで判断するのは危険です。専門家としっかりコミュニケーションを取りながら、正しい会計処理を心がけましょう。

契約条件の事前確認が重要

リバースファクタリングを開始する前には、発注企業、受注企業、ファクタリング会社の間で交わされる契約条件を、細部までしっかりと確認しましょう。

特に「手数料は誰が、どのくらいの割合で負担するのか」は、後々トラブルになりやすいポイントです。

発注側としては「早くお金を払ってあげるのだから、手数料は外注先が負担して当然」と思うかもしれません。しかし、外注先からすれば「システムを変えられて、手取りが減るのは納得できない」と感じることもあります。法律に抵触しないよう、お互いが納得できる条件を話し合う必要があります。

契約条件で確認すべき主なポイントは以下の通りです。

  • 手数料の負担割合(発注側が全額負担か、受注側が負担か、折半か)
  • 万が一、発注側がファクタリング会社に支払えなくなった場合の責任の所在
  • 契約の有効期間と、解約する場合の条件や手続き方法

リバースファクタリングはお互いを助け合う仕組みです。契約書にサインする前にしっかりと話し合い、クリアな関係で取引をスタートさせましょう。

リバースファクタリングが向いている企業の特徴

リバースファクタリングが向いている企業の特徴の図解

日々の業務を進めるなかで、「帳簿上の売上は立っているのに手元の現金が足りない」という黒字倒産のリスクを感じたことはありませんか? 事業を長く続けていくためには、利益を出すことと同じくらい、手元の現金をしっかりコントロールすることが大切になってきます。

リバースファクタリングは、支払いのタイミングに悩みを抱えているすべての事業者にとって、状況を好転させるきっかけになる仕組みです。

ここでは、リバースファクタリングの利用が向いている企業の特徴について解説します。一つでも「うちの会社のことかも」と思い当たる節があれば、導入を検討してみましょう。

それぞれ順に解説いたします。

入金サイトより支払いサイトが短く資金繰りに苦労している企業

入金されるタイミングよりも支払いのタイミングが早く来てしまう企業にとって、リバースファクタリングはぴったりの解決策になります。手元の現金が減っていく不安をなくし、事業の立て直しに専念できる環境を作れるからです。

たとえば、取引先からの入金が「月末締めの翌々月末払い」なのに対して、仕入先への支払いが「月末締めの翌月末払い」だったとします。

この場合、売上金が入ってくるまでの1ヶ月間は、自社の貯金を持ち出して支払いを立て替えなければなりません。仕事が増えれば増えるほど先に出ていくお金も大きくなるため、売上が好調なのに資金繰りで苦しむという矛盾が起きてしまいます。

そこでリバースファクタリングを活用すると、以下のような変化が期待できます。

  • 支払いをファクタリング会社に立て替えてもらえる
  • 自社からファクタリング会社への支払いを、売上金が入金されたあとに設定できる
  • 手元の現金を減らさずに次の仕事の仕入れができる

このように、入金と支払いのタイミングのズレをなくすことができるのです。資金の心配をせずに、新しい案件を積極的に受注していきたい個人事業主や中小企業は、リバースファクタリングの導入を検討してみましょう。

特定の時期だけ買掛金の支払いが集中する企業

季節ごとの繁忙期や大型案件の受注などで、特定の時期にだけ買掛金の支払いが大きく膨らんでしまう企業にとっても、リバースファクタリングは役立ちます。一時的な支払いの波をなだらかにし、手元資金の急激な減少を防げるようになります。

アパレル業や建設業などを想像すると、わかりやすいかもしれません。夏物や冬物を一気に仕入れる時期や、大きな建設プロジェクトが動き出す初期段階では、材料費や外注費などの支払いが一時的に集中します。しかし、その商品を売って回収できるのは数ヶ月先です。

この「一時的なお金の不足」を乗り切るために、リバースファクタリングを利用すれば、支払いのピークをずらすことができます。

特定の時期だけ資金が足りなくなるプレッシャーから解放されれば、安心して本来のビジネスに集中できます。一時的な資金繰りの悪化に悩んでいるなら、リバースファクタリングをうまく活用して乗り切るのがおすすめです。

複数の外注先への支払いを一本化したい企業

たくさんの外注先や仕入先を抱えていて、支払いの管理業務に追われている企業にも、リバースファクタリングは大きなメリットをもたらしてくれます。バラバラになっている支払い先を一つにまとめることで、振込の手間や手数料の無駄をなくせるからです。

事業が成長してくると、関わるパートナー企業の数も自然と増えていきますよね。A社には10日払い、B社には20日払い、Cさんには月末払いという具合に、支払いの日程や条件がさまざまになってくると、毎月の経理作業は本当に大変です。振り込み間違いのリスクもありますし、振込手数料が積み重なって大きなコストになってしまいます。

ここでリバースファクタリングを導入すると、管理業務が楽になります。

  • すべての外注先への支払いをファクタリング会社が代わりに行ってくれる
  • 自社は、決められた日にファクタリング会社へ一括で支払うだけで済む
  • 毎月の振込手数料を節約できる
  • 経理担当者の作業時間が減り、ほかの重要な仕事に時間を充てられる

資金繰りの改善だけでなく、業務の効率化まで叶えてくれるのがリバースファクタリングの隠れた魅力です。支払い管理の負担を少しでも減らしたいと考えている方は、検討してみてはいかがでしょうか。

リバースファクタリングに関するよくある質問

手数料は何パーセントが相場ですか?

リバースファクタリングを利用する際の手数料の相場は、おおよそ1~5%程度です。通常のファクタリング、特に2者間ファクタリングと比べると、低めの手数料で利用できる傾向にあります。

なぜ手数料が安く抑えられるのかというと、審査の仕組みに理由があります。

通常のファクタリングは「売掛先(お金を払ってくれる会社)」の信用力が重視されますが、リバースファクタリングでは「自社(支払いをする会社)」の信用力が審査の基準。結果、ファクタリング会社からすると未回収になるリスクを把握しやすく、手数料が安くなりやすいのです。

手数料を少しでも低く抑えるためには、以下のポイントを意識してみてください。

  • 複数のリバースファクタイング会社の相見積もりをとる
  • 自社の財務状況がわかる書類をしっかり揃えて信用力をアピールする
  • 長期的な利用を前提にして契約の相談をする

リバースファクタリングを申し込む前に、見積もりを出してもらって実質的な負担額をしっかり確認しましょう。

初期費用や月額費用はかかりますか?

リバースファクタリングを導入するとき、初期費用や月額の固定費用がかかるかどうかは、利用するファクタリング会社によって大きく変わります。

最近は初期費用や月額費用を無料にしているファクタリング会社が多いですが、利用料として毎月定額の支払いが必要なケースもあります。

たとえば、中小企業や個人事業主向けに作られた手軽なオンラインサービスの場合、「かかる費用は手数料だけ」というシンプルな料金体系のところが多いです。一方で、大手企業向けの複雑なシステムを導入する場合などは、アカウントの登録料や月々のシステム保守費用が発生することもあります。

契約前に確認しておきたい費用のポイントは以下の通りです。

  • 初期設定やアカウント開設にかかる費用はあるか
  • 利用しない月でも毎月発生する基本料金はあるか
  • 立て替え実行時の手数料以外に、事務手数料などが引かれないか

コストを抑えて資金繰りを改善したい中小企業にとっては、やはり月額の固定費がかからないサービスを選ぶのが安心です。

IFRS基準での会計処理はどうなりますか?

IFRS(国際財務報告基準)を適用している場合、リバースファクタリングはサプライヤー・ファイナンス契約の一種として扱われます。以前は明確な基準がなく解釈の余地が大きい領域でしたが、IASBが2023年5月にIAS第7号およびIFRS第7号を改訂し、サプライヤー・ファイナンス契約に関する開示要件が明確化されました。この改訂は2024年1月1日以後に開始する事業年度から適用されています。

ただし、開示ルールが整備された後も、負債の分類や買掛金をいつオフバランス処理するかといった点については、契約内容に応じた個別の判断が引き続き必要です。

IFRSを適用している企業がリバースファクタリングを利用する際は、最新の基準改訂を踏まえたうえで、必ず公認会計士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

仕訳はどのように記録しますか?

リバースファクタリングを利用したときの仕訳は、取引のステップごとに以下のように記録します。

① 仕入れ・買掛金の発生時
外注先から納品を受けたタイミングで、通常通り仕入れを計上します。

借方:仕入 / 貸方:買掛金
② でんさい(電子記録債権)への切り替え時
ファクタリング会社を通じてでんさいが発生した時点で、買掛金を「電子記録債務」に振り替えます。
借方:買掛金 / 貸方:電子記録債務

③ ファクタリング会社への支払い時
支払期日にファクタリング会社へ代金と手数料を支払った時点で、電子記録債務を消し込みます。
借方:電子記録債務 / 貸方:普通預金
借方:支払手数料  / 貸方:普通預金

なお、どの取引先に対する買掛金なのかを明確にしたい場合は、摘要欄に仕入れ先の名前を記載しておくとよいでしょう。契約内容によって処理が異なるケースもあるため、不安な場合は税理士や会計士に事前に確認しておくと安心です。

買掛金の支払いにも使えますか?

リバースファクタリングは、まさに買掛金の支払い問題を解決するために作られたサービスであり、もちろん使えます。通常のファクタリングが売掛金(もらうお金)を対象にするのに対し、リバースファクタイングは買掛金(払うお金)を対象にしています。

事業を続けていると、「取引先への買掛金の支払い日が迫っているのに、口座の残高が足りない」と焦る場面があるかもしれません。銀行の融資を申し込んでも間に合わないようなタイミングでも、リバースファクタリングを使えば買掛金の支払いをファクタリング会社に立て替えてもらうことが可能です。

買掛金の支払いに利用することで、以下のような良い効果が生まれます。

  • 取引先への支払いが遅れることなく、信用関係を守ることができる
  • 自社の支払い期日を、売上金が入金される日以降に後ろ倒しできる
  • 手元の現金に余裕が生まれ、事業の資金繰りが安定する

買掛金の支払いに悩む中小企業や個人事業主の方にとって、心強い仕組みといえます。支払いへのプレッシャーがある場合には、買掛金をスマートに管理できるリバースファクタリングを選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

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